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大川のヒキダシ

小山薫堂、イガリシノブ、鈴木修司らが大川の家具職人とタッグ小山薫堂、イガリシノブ、鈴木修司らが大川の家具職人とタッグ代官山T-SITEで「大川のヒキダシ展」開催

480年の歴史と家具生産量日本一を誇る木工の街、福岡県・大川市。
その長い家具づくりの歴史の中でも、“ヒキダシ”づくりの技術は、
船大工の時代から上質な婚礼ダンスづくりの時代を経て現代まで受け継がれる、
大川の職人たちの強みでありアイデンティティです。

そんな大川の“ヒキダシ”の技術力を体感し、新たな可能性を知ってもらおうと、
東京・代官山 T-SITEのGARDEN GALLERYにて「大川のヒキダシ展」が開催されました。
3月22日(木)〜26日(日)の期間で行われたイベントには、若い人から親子連れ、ファッション関係者、外国人まで、
年齢も業種も異なる約2000名が訪れ、展示品のヒキダシを実際に開け閉めしたり、
家具の中に入ったりして楽しんでいました。

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これもヒキダシ!? クリエイター×職人の“新しいヒキダシ家具”に驚き

イベント会場の目玉となったのは、各界で活躍中の3人のクリエイターがアイディアを出し、大川の職人たちが確かな技術で製作した3つの“新しいヒキダシ家具”。

芸能人も厚い信頼を寄せるヘアメイクアップアーティストのイガリシノブさんと、アイディア家具を得意とする「木彩工房」の小島嘉則さんによる「かわいいをつくるヒキダシ」は、たくさんのメイク道具を収納できるヒキダシを備え、中に入ってメイクができる空間。徹底して女性目線で作られた空間は若い女性を中心に人気を集め、「カワイイ!」「メイクしてみたい!」とカメラを向ける人が続出していました。

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また、BEAMS JAPANバイヤーの鈴木修司さんが考えたスタイリング専用のヒキダシ家具は、「馬場木工」の馬場末広さんらが製作。特に、使い勝手と見た目の美しさを兼ね備えた馬場さんこだわりの特製ハンガーが、ファッション関係者の注目を浴びていました。

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そして、放送作家の小山薫堂さん率いる企画プロデュース集団オレンジは、一人で中にこもって考えごとに浸ることのできる小部屋を考案。100年以上の歴史を持つ桐製家具専門工房「桐里工房」の稗田正弘さんらの手によって、桐の魅力を生かしたかつてないプライベート空間が完成しました。実際に中に入り、桐の心地よさを体感する人も。座面の畳まで桐でつくられた空間に、外国人の来場者も驚いていたようです。

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一般的な木工家具のイメージを大きく変える3つの“ヒキダシ家具”。大川の職人たちの確かな技術をアピールすると同時に、大川家具のクリエイティブなイメージを発信するアイコンになっていました。

BEAMS鈴木修司、イガリシノブのトークショー&メイクショーも開催

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25日(土)には、鈴木修司さん、イガリシノブさんと、クリエイターと職人たちの橋渡し役として家具製作をサポートしたプロダクトデザイナーの相馬唯さんによるトークショーも開催。

鈴木さんは実際にヒキダシ家具を使いながら、「自然いっぱいの天草、春の7日間出張」をイメージしたスタイリングを紹介。寒暖差やTPOに対応できる、さすがのコーディネートを展開しました。

鈴木さんがヒキダシについてこだわったのは“ストーリー”。「スタイリング、荷造りが終わり扉を閉めると、外には最終チェック用の鏡だけが残ります。この鏡をしまおうと足元の小さなヒキダシを開けると、そこには子どもからの手紙や、母親からのちょっとした餞別などが入っているんです」と、ヒキダシに隠された温かいストーリーが明かされると、会場からは拍手が起こりました。

また、馬場木工こだわりのハンガーについては、「服は一式かけると意外と重量があり、強度には大変こだわっていただきました。服に携わって20年ほどたちますが、上から下まで、さらに帽子やアクセサリーまで全て吊るすことのできるハンガーは見たことがない。夢を叶えてくれてありがとうございます」と感激した様子でした。

トークショーの後は、イガリシノブさんによるメイクショー。イガリさんのヒキダシ家具から、メイク道具の持ち運び用に作られたヒキダシを取り出して行われ、イガリさんからメイクを学ぼうと、多くの若い女性たちがメモをとったり動画に収めたりと熱心に聞き入っていました。女性たちはその後も、イガリさんのヒキダシ家具をはじめ、会場内の家具に触れて楽しんでいたよう。普段なかなか木工の世界に触れることのない若い世代にも、本物の技術を伝える機会になりました。

大川のヒキダシの”気密性”を実感

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会場の中央で大きな存在感を放っていたのが、「丸田木工」が手がけた「50人のヒキダシ」です。これは、50個のヒキダシを備えた巨大な家具で、大川のヒキダシの特徴である気密性を体感してもらおうと製作されたもの。

50個のヒキダシの中には、様々なジャンルのクリエイター、文化人、企業家の思い出の品や普段使っているこだわりのアイテムなどが収められ、来場者はヒキダシを開け閉めする感覚を手のひらに感じながら、次々にヒキダシの中を覗いて楽しんでいました。

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このほか、大川市の家具職人たちが自由に製作した、11のユニークなヒキダシ家具も展示。例えば「永松木工」の「風琴タンス」(写真左上)は、ヒキダシの奥に2種類のハーモニカを仕込み、ヒキダシを開け閉めすることで音が奏でられる仕組み。大川のヒキダシの気密性の高さを楽しく感じさせ、来場者を驚かせていました。

また、「ナカヤマ木工」は「ピッキオチェスト」(写真右下)を出展。使い続けるにつれ木の色合いが濃く変化していくブラックチェリーの無垢材を、ホゾ組みと呼ばれる伝統技法で組み上げたもので、木製のカードホルダーや真鍮の取っ手などがアンティークな雰囲気。長年使い続けられるレトロなデザインが、若い女性にも人気だったようです。

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26日(日)には、「ナカヤマ木工」の中山隆博さんによるミニヒキダシ作り体験も開催。釘を使わないホゾ組みでつくるヒキダシつくりから、大川の職人の技術を体感できる時間となりました。

大川のヒキダシが魅せる新たな可能性

イベントに訪れた人の中には、現代の大川家具に触れたことのない人も多かったよう。「大川家具は婚礼家具のイメージでしたが、こんなにオシャレで新しいデザインのものがあるとは驚きでした」「カフェや洋服のショップにも合いそう」「Web通販やオーダーもあると聞きました。家具を購入する際にはぜひ利用してみたい」といった感想が聞かれました。

さまざまなヒキダシの形を通じて、大川の木工技術の高さ、そしてクリエイティブなイメージを発信し、大盛況のうちに幕を降ろした「大川のヒキダシ展」。今後ますます広がりを見せる大川家具の可能性に、注目です。