クリエイター × 大川の職人新しいヒキダシ家具をつくる
各界で活躍中のクリエイターが考えたアイディアを大川の職人たちが、確かな技術を駆使してカタチにする。
日本一の匠の技と異分野の感性が融合して、まったく新しいヒキダシ家具が生まれました。
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相馬唯
大学卒業後、株式会社ジンクラモトスタジオのアシスタントデザイナーとして勤務。頭だけではなく手で考える造形を大切にし、家電製品や日用品、家具などのさまざまなプロジェクトに参加。2016年に独立、デザインオフィスを開設。今回はクリエイターのアイディアを、大川職人につなぐ役割を果たす。
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「アイディアを生み出すヒキダシ」
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CREATOR
小山薫堂とオレンジ・アンド・パートナーズ
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OKAWA FACTORY
桐里工房100年以上続く桐製品の専門工房
小山薫堂とオレンジ・アンド・パートナーズ
放送作家・小山薫堂が率いる企画プロデュース集団。ブランド、施設、地域…あらゆるジャンルにおいて"SURPRISE & HAPPINESS"をテーマにアイディアを生み出し続ける。自社グループで料亭やレストラン経営も手掛け、リアルな「場所」から新しい価値を発信する。
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アイディアヒアリング
小山薫堂さんをはじめ、オレンジ・アンド・パートナーズのメンバーが一堂に会する場で、
ヒキダシ家具に対して飛び出す様々なアイディアをヒアリングしていきました。
いくつかの質問を投げかけることでメンバーの意見を引き出していく。
02
ラフデザイン
ヒアリングしたアイディアをもとに3Dのラフデザインを作成し、
再びメンバーの意見を集めてさらにブラッシュアップしていきます。
3Dのラフデザインになるとぐっとイメージも具体的になり、さらに様々なアイディアが。
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大川職人打ち合わせ
職人が持つ技術によりどのようなヒキダシ家具に仕上げていくか、
綿密に打ち合わせを行い最終図面を仕上げていきます。
今までにないアイディアを実現させるため、大川職人と何度も何度も議論を重ねて図面を作成していく。
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つくる
桐だけが持つ空気を全身で感じてほしい
修行を積んだ職人だけがつくることのできる桐箪笥や桐製家具は、大川家具の歴史を象徴する製品のひとつ。
桐の持つ力を知り尽くし、職人たちの伝統技術を受け継ぐ桐里工房が、まったく新しい桐の空間づくりに挑みました
作品イメージを詩に込めて
作品をつくるときにはいつも、作品のイメージを詩に表すという稗田さん。今回のヒキダシ家具には「……水と 平野の 構図より……」と題した詩を寄せた
1年を通じて快適に
壁面と底板には、桐材の間に羊毛を詰めた桐里工房オリジナルの“羊毛桐”を採用。桐が本来持つ温度調節の機能が増し、夏は涼しく冬は暖かい快適な空間に
異分野の技法に挑戦
組み立ては、角材を水平に積み重ねて壁面をつくる“校倉造り”という技法から着想を得た。本来は建築物に使われる技法だが、通気性の高さがプライベート空間に最適
気密性の高さの証
空気さえ漏らさないほど気密性高く造られる桐ダンスのヒキダシ。取手のない状態では開けれられないため、職人たちは吸盤を使って引き出していた
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完成
熊本県PRマスコットキャラクター「くまモン」や映画『おくりびと』などを手がけたことでも知られる、放送作家の小山薫堂さん。
彼が率いる企画プロデュース集団オレンジ・アンド・パートナーズが考えたのは、集中してアイディアを練るための究極のプライベート空間。
100年以上の歴史を持つ桐製家具専門の桐里工房とタッグを組み、桐の魅力を最大限に活かしたかつてないヒキダシ家具が誕生しました。
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1組子の効果で優しい光に
デスク上部のライトには大川の伝統工芸である大川組子をはめ込み、優しい光を演出。気持ちが安らぎ、アイディアも浮かびやすそう。「組子は一部に使うほうが魅力が引き立つ」と桐里工房の稗田正弘さん。大川職人の粋も感じられる
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2コンセントは自然に隠して
桐の持つ心地よさを存分に感じるため、無機質な印象のコンセント周りはデスクの奥の溝に格納。ちょっとした小物の収納にも使えそう
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3レザーを敷いて書き心地よく
書き物をするデスクの天板にはレザーを敷いて、適度にペンが沈む書き心地のよさを実現。桐とレザーの異質な組み合わせが面白い
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4寝そべって考えを巡らせる
椅子部分には奥行きを出し、寝そべることもできる。天板に敷いた桐製の畳は木とは思えない柔らかさとあたたかい感触が特徴だ。天井は無双窓に和紙を貼り、優しい光が入る仕掛けに。考えに行き詰まったら天井を見上げたい
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5靴や座布団などをしまえるヒキダシ
茶室のにじり口のように見立てた入り口の下には、外から靴や座布団などをしまえるヒキダシを備えた。下段のヒキダシは、中に入る際に踏み台として使える